ドイツの健康保険、滞在が5年以上になったら?
先日保険を更新しました。スムーズに行くかと思いきや、ギリギリでひやひや・・・というかトラブルのせいで数日間無保険でした。こわかったです。なんとか更新でき、私のようなケースは日本語でも英語でもあまり情報がなかったのでまとめておくことにしました。
ドイツの保険の分類
日本では国民皆保険で、被用者保険の社保とそうでない人のための国保があります。ドイツも国民皆保険ですが、仕組みはかなり違います。分類はこんな感じです:- Gesetzliche Krankenversicherung (法的疾病保険) --- (a)
- Private Krankenversicherung (プライベートの疾病保険) --- (b)
- ドイツのプライベート --- (b-1)
- 国際的なプライベート ←EUの法律が変わってに2009年から保険として認められるようになりました --- (b-2)
法的疾病保険
EU域外の外国人の場合、いくつかの例外はあるものの原則企業に雇われないと(a)の法的疾病保険には入れません。例外とは、芸術関連の仕事の人がKSKを通して加入する、一度雇われて辞めた人がそのまま権利をキープするなど。ドイツに移住後すぐに法的疾病保険を申請して受理されているケースもあるようなので、最初だったらいいのかな、謎です。法的〜という名前でなんだかいい感じがするし、いいところもあるのですが、低所得の場合最低料金が高すぎる、プライベート優先でなかなか予約が取れない・・・などと微妙なところについての文句も聞きます。プライベートの疾病保険
(b)のプライベートは、ドイツ人で会社員の場合、一定以上の収入がないと入れません。経営者、フリーランスの人は被雇用時の法的疾病保険をキープしていない場合はプライベートの保険に入ります。被雇用者でない私のようなEU域外からの外国人も、上で書いた例外を除きプライベートの保険に入ります(何かには入らなければいけないのです)。プライベートは高いイメージがあり、実際(b-1)のドイツの会社のプライベート疾病保険の一般的なものの相場は月額280ユーロからと高いですが、保険料が収入に比例しない、オプションが自由に選べるとメリットもないではありません。お金持ちであれば。子どもがカバーされない、年を取って収入が少なくなっても保険料が変わらないといったデメリットもあります。このあたりはインターネット上にたくさん比較した記事があるのでここでは割愛します。
プライベートの保険の中には短期滞在者向の安いものもあります。私は渡航してすぐに Care Concept の Care Concept Expatriate に入りました。当時月額53ユーロで、58ユーロにあがったものの、法的保険の最低額(300ユーロほど)、(b-1)の最低額と比べると破格です。ちなみに妊娠・出産フルカバーでした。もうひとりくらい産んでおけばよかったかなというのは冗談ですが、ありがたや。妊娠・出産については保険に加入したあと数ヶ月の待機期間があるのでご注意を。
プライベート保険の落とし穴、5年の壁
安い短期滞在用のプライベートの保険には落とし穴もあります。5年までしか更新できないのです。今回ぶつかったのがこの5年の壁です :( Care Concept から契約が終わるので必要でしたら次の保険問い合わせてねということで電話をしました。親会社の Hansamerkur の保険の見積もりが送られてきて、保険料は月278ユーロ、かかりつけ医の健康診断を受けて健康状態が良好であれば258ユーロまで減額されるとのこと。安くはないですが、他の(b-1)の保険と比べて悪くなく、妊娠・出産時の Care Concept の対応がよかったのでこれでいくことにしました。・・・が、申請書を出すと「昨年の収入が足りないので受け付けられません」と却下されてしまいました。投資収益なども足して出し直すもまた却下。ドイツ人のパートナーに電話で交渉してもらい、貯蓄はあるし昨年は産後で今後収入は増える見込みですという補足説明の文書を出すことになり、提出後、数日連絡がなく、今度は「ドイツ語でないと受け付けられません」(これまでのやりとりは英語だったのに)とのこと。法的には収入の制限はないはずで、被雇用者がプライベートの疾病保険に加入するための最低月収4350ユーロ(56万円ほど)と混同しているのではないかとも
電話でのやりとりがひどく、私もパートナーも連日のやりとりに疲れ、私は無保険になったらどうしようと不安で内輪もめもして、ふたりともぽかーんとして、代替案を探し始めました。
新しいタイプのプライベート保険
そんな折、いますね、同じ境遇のような人。ベルリン時代のお友達に相談したところ、(b-2)の ALC Health というイギリスの保険会社を教えてくれました。このタイプでは cigna も考えていたのですが、インターネット上の英語での評判がよくなく、日本語での評判はよかったもののアメリカのケースばかりで迷っていました。
ALC Health はドイツでもプライベート保険を提供しているフランスの AXA の子会社ということで、日本語での評判はほとんど見かけませんでしたが、英語での評判は悪くない。そして何より友人の友人が普通に保険料請求できたと聞いて安心したのもあります。ビザの更新も ALC のホームページに書いてある通りOK(女性は妊娠・出産のカバーが必要なはずなので必ず要件をチェックしてください)。できて当たり前のはずですがもうここまで来るのに疲れ果ててあらゆることに疑心暗鬼です。。。
ALCは見積もりを取って確定の通知が来るまで1日かからず、先ほど保険料を振り込みました。一度銀行振込の方法を聞くために電話で問い合わせをしましたが、待たされることもなく、対応も親切でスムーズでした。もうあの Care Concept を介した Hansamerkur との伝言ゲームは何だったの!!と。
保険料は月額220ユーロほどで結果としてよいところに落ち着きました。年間一括払いにすると少し安くなるのです。Excessと呼ばれる最初にかかる免責金額も Hansamerkur の1000ユーロよりよほど安いです。
男性で妊娠・出産をカバーしなくてよいとさらに安くなります。ちなみにドイツの保険では性別による差別をしてはいけないということで男女同額です。妊娠・出産のカバーは、歳も歳だしもういいかなと一瞬思ったのですが、女性はビザの発給要件にたしか「妊娠出産が保険でカバーされていること」とあったのではと思い出し、もうひとりくらい子どもいてもいいかと思うこともあり、40歳くらいまではつけておくことにしました。
そんなこんなで私の保険はALCに落ち着きました。幸いパートナーが法的疾病保険に入っているので、子どもはパートナーの保険でカバーされています。
おわりに
いろいろありましたが、(b-2)の新しいタイプの保険を発見する機会になり、無事カバーもされたので結果良ければすべてよし。このタイプの保険は、もう10年ほど前のEUの法改正によって出てきたもので、ドイツ人もあまり知らないみたいです。Ende der privaten Kassen?: Rechnen lohnt sich - FOCUS Online
この投稿が今後保険の更新で困った人の役に立ったらうれしいです。
海外で外国人として暮らしていると大変なこともありますが、楽しいことも多いのでがんばっていきましょう!
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